2017年8月27日、
標高400mの牧場の中に、高津川流域の木材をふんだんに使った素敵な園舎が建ちました。
たった3人のお母さんたちから始まった山のこども園うしのしっぽ。
認可をとり、園児が増え、
ついに夢だった山の上の園舎まで完成することになるとは。
その軌跡を少しだけ振り返り、園舎にかける想いを記事にします。
2年間の山での保育を経て、認可保育園へ
山のこども園うしのしっぽは、
もともとは園舎のない森のようちえんという保育の形態を目指し、2013年に 認可外保育園として開園しました。
当時はスタッフ3名と子ども2名での共同保育。2年間、山小屋を拠点に、一日中山の上で過ごしました。
山の上では、
- 自分で考える力、自分で決める力
- 想像力
- 反射神経やバランス感覚
- 足腰腕の力などの身体能力
- 感受性の豊かさ
・・・などなど、
保育所保育指針や幼稚園教育要領に示される力を育む様々な体験が、設定せずとも可能であり、山の教育資源の豊かさを実感する日々でした。
そんな中で、
- どんな家庭の子どももほかの認可園と同じ保育料で選んでもらえる保育園にしたい。
- 働くスタッフ達にもちゃんと対価を払いたい。継続雇用したい。
という思いから、認可保育施設という道を選ぶことにしました。
そして2015年に認可を得て、2年間、山から車で10分ほど離れた旧左鐙保育園を拠点として過ごしてきました。
認可を取ってから園舎建設まで
認可を取ってからは、認可施設のあるところで過ごさなければならないという決まりがあり、午前中だけバスで山に移動して活動し、昼前には下の園舎に戻ってくるという毎日を送ってきました。
しかし、最初の2年間をずっと山で過ごしてきたスタッフたちは、
「やっぱり 丸一日 豊かな山の上で過ごすからこそ育つものがある。」
と、山の上に園舎が欲しい、という想いが捨てきれませんでした。
また、今後も継続して認可園であるためには、5年の措置期間のうちに 給食施設や調乳室、沐浴室などの要件を満たす施設を確保しなければならないという決まりがあり、
やっぱり、今、建てよう。
と、昨年度、新園舎建設に踏み切りました。
いざ建てるとなると、土地が農地である上に農業振興地区に指定されていたり、思った以上の急傾斜地・軟弱な土地のため基礎工事に莫大な金額を要することになったり・・と、難題続出。
園舎を引っ越すことについて「何で奥の不便なとこへ行くんか!!」「サブミが廃れる」など、いろんな意見や批判も頂きました。
・・それでも、いや、だからこそ、
私たちは、さぶみの中でも山奥のこの牧場の、
この環境に認可を受けた園舎を建てるということに決めました。
私たちは、このことが
「時代の流れの中で本当に価値のあることは何か。田舎がどっちを向いて進むべきであるのか」に一石を投じることである
と思っています。
私たちの想い
私たちの保育園の経営主体であるNPO法人さぶみのは、
「地域活性化のため」に活動してきたのではありません。
あくまでも
「ここの豊かな自然と人という恵まれた教育環境の中で育つことを、子どもたちに保障してやりたい」
という思いで、11年間ぶれずに、一途に活動してきました。
ここで育った者たちが
今 主流の価値観と 相反する価値観を尊重し、
今 当たり前と思われてることが
本当にそうなのか?と考えて
自分の目と耳と感性とで判断し行動できる人として、
10年後、20年後に
この地域を、この日本を支えて動かす人になる。きっとなる。
そのための毎日の積み重ねの場所として
何よりも教育の場として
さぶみのさらに山奥の
この地を選んで保育園舎を建てました。
今からの時代に必要とされている教育資源。それが豊かにある場所に園舎を建てる。
何よりもそれを優先したということなのです。
一人一人本当に面白くいとおしい子どもたちと、
それに続くうしっぽファミリーの子どもたちの、
人生の最初のステージを
スタッフと保護者とで、チームうしっぽとして一丸となって心をこめて育てていきたいと思っています。
どうか10年後、20年後をわくわくしながら楽しみにしていてください。
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